「64ロクヨン/横山秀夫」

横山秀夫著「64ロクヨン」を読み終えた。

647ページにも及ぶ骨太警察小説だった。

昨晩一気に100項読み終えた時は深夜激しく振る雨も止みかけ窓の外はうっすら白みかけていました。

僕が始めて横山文学に出会ったのはあの名作「半落ち/横山秀夫」だった。



もう10年以上も前だろうか。
横山秀夫の名前すら知らなくて、ミステリーがすごいで知って読みました。

ラストの50項は涙が止まらず読みました。
嗚咽しながら本を読んだのは浅田次郎の「プリズンホテル」以来でした。

それから横山秀夫の作品は映画化やドラマ化されました。

しかしあまりに「半落ち」の印象が強く他の作品を読まないでいました。

そして一昨年、友人から「64ロクヨン」を借りました。

分厚い本。
そして会話の「」が少ない警察小説。
多くの登場人物。
まるでロシア文学のドストエフスキーの様に登場人物を覚えるだけで一苦労。
しかも買っているのではなく借りた本。
60ページ前後で断念。友達に返しました。

しかし読みはじめて引き込まれる横山文学。

浜松市図書館に予約。

さすがに人気本のため半年の待ち時間。

手元に届いたのは5月半ばを過ぎた頃でした。

もう一度最初から読み直しました。
期限は5月31日までの2週間です。

思い出してきました。

主人公のD県警の広報官・三上義信。元刑事部所属。
D県で起きた最悪の少女誘拐事件・殺害・いまだ未解決に関わった人物でした。
その事件も犯人検挙には至らず時効間近になっています。
すでに風化された過去の凶悪誘拐事件を取り巻き、また三上個人の娘が行方不明という二重の展開で物語りは進みます。

そしてまさに縦割りの警察のしがらみ。
地方と中央の駆け引き。
それをとりまく報道・新聞社の攻防。

あ〜ここまで書いてきて疲れた。

ページを捲るのもどっと疲れる本です。

まさに単なるミステリーではなく、僕たちが実際体験している人と人の関係。
喜び悲しみ、そして恩讐。

あらゆるどろどろが詰まった本でした。



そして昨夜一気に朝までかけて読破。

驚くべき結末。


正直疲れました。
今日はその疲れで仕事になりませんでした。
そしてその疲れは生きていくことの疲れだと「64ロクヨン」から教えられました。

当たり前のことだけれど長い夜は無い。

何事も無かったかのようにまた一日が始まる。

そんな普通な一日が実は幸せなのだ。

64(ロクヨン)64(ロクヨン)
著者:横山 秀夫
文藝春秋(2012-10-26)
販売元:Amazon.co.jp



2014年05月27日Comments(0)TrackBack(0)BOOK 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 

Copyright 2004-2007 Free Flight Inc., All rights reserved.