酒の唄・・財津和夫「宇宙塵」

今日は酒の話です。
少し落ち込んでいたり、会社でいやな事があったり。
好きな人を思って飲むのもいい。

もちろん酒は楽しく飲む方がいい。

でも今回は、ちょっとマイナーな気分になった時のお話です。

3月11日以降、日本全体が少しマイナーな感じになってきました。

今回の震災が無けれ僕は震災が起きたその週末、千葉県木更津のイベントの予定でした。※もちろん中止になりました

久しぶりの東京方面の仕事で、僕は学生時代に住んでいた「武蔵中原」に行く予定でした。

ホテルも川崎にサウナ併設のカプセルホテルを予約しました。
生まれて初めてのカプセルホテル。
そして学生時代からずっと行っていない武蔵中原に行く旅。
そんな予定でした。

そんなあれこれは「学生時代」でアップしてあります。

では何故今まで「武蔵中原」に行かなかったか・・。
それは学生時代の悲しい思い出があるからです。

僕は夢見ていた「東京(当時)」に打ちのめされて挫折したからなのです。

本来は故郷を捨ててあこがれの東京に骨を埋めるつもりで上京しました。

しかし僕が故郷で天狗になっていた鼻をポキリと折られるのです。

東京は甘くない。つまりは僕の選んだ仕事も甘くない。
学生時代に突き付けられた現実でした。

元来群れると言う事ができない性格で、学生サークルなどは入らず、中原のアパートと学校の往復の毎日でした。

アパートは共同トイレで風呂もありませんでした。
銭湯は多摩川から近く、歩いて15分ほどです。
帰りに肉屋の惣菜を買い、部屋で一人飲んでいました。
その頃はサントリーウォッカを飲んでいたのです。理由はアルコールが強く安く酔えるのです。
仕送りも当時4万円。家賃に2万円払い生活費が2万円でした。
米と味噌とじゃがいもと玉葱は家から送ってもらいました。

学生生活は貧困を極めていました。

4畳半にせんべい布団を引き寝ると、南武線を走る音が枕から伝わります。
その音を聞きながら枕を涙で濡らしました。

そんな僕を救ってくれたのが・・
故郷の恋人
一緒に上京した友人
大好きな音楽
そして・・酒・・だったのです。


故郷の恋人と同じ音楽が好きでした。
チューリップでした。
二人で学生時代にコンサートに行ったり。
実は僕が高校生の時、初めてコンサートの裏方実習(と言っても現地バイト)、チューリップの「浜松市民会館コンサート」でしした。

舞台裏方をしてコンサートを見て興奮しました。

「僕はこの道に入る」・・・と。

そして武蔵中原です。

恋人と別れ、一人で暮らす僕を慰めてくれたのは酒と音楽でした。
アパートにはレコードプレーヤーが無いのでラジカセでした。

その頃大切に持っていったカセットが財津和夫の初めてのソロアルバム「宇宙塵」でした。

宇宙塵
宇宙塵
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当時「オールラウンド‐プレーヤー」と言う音楽シーンの中で注目されていた事がありました。

一人でドラム・ギター・ベース・キーボード・ヴォーカル他を多重録音でアルバムを作ると言う事です。
ポール・マッカートニーや「チューブラベルズ(マイク・オールドフィールド)」等バンドから個人で作る音楽がブームになっていました。

そんな中で財津和夫の「宇宙塵」は全て財津和夫がプレーヤー、ボーカルと言う名盤でした。

Blue train・・「宇宙塵/財津和夫」

これは故郷に残した恋人を思い涙した名曲です。




思い描いていた東京の暮らしとは違う戸惑い。
南武線に揺られアパートに帰るといつも同じく上京した友人が訪ねてくれました。
友人は「稲城長沼」に下宿していて、読売ランドのバイトや持って生まれた博才か、パチンコでいつも儲けて僕のアパートに来ていました。

二人でウォッカを飲み、田舎から持ってきたジャガイモをバターで炒めて塩を振って酒盛りをしていました。

二人とも恋人を故郷に置いてきたのです。

そんな中原のアパートでラジカセで聞いたのが、財津和夫「宇宙塵」の中の数ある名曲中の名曲「酒の唄」でした。

「酒の唄/作詩・作曲 財津和夫」

一人の男を知っている 腹がたつ程人が良く
酒を肴に 酒を飲む様な 酒に溺れて死んだや奴

あいつの口癖は酒のプールで泳ぎたい
そんな冗談を 真面目な顔で喋ってた

何が悲しくてそんなに酒を飲んだのか
何が悲しくて いつも酔いつぶれたのか

酒は飲め飲め飲め 淋しさを飲み干せ
酒は飲め飲め飲め 儘ならぬを飲んでしまえ


あれから時は流れ、僕は今になっても酒のプールで溺れている。
今はカセットではなく、リマスターされたCDでグラス片手に「酒の唄」を聞いている。
さすがにウォッカではないけれど。

酒をいくら飲んでも 飲まれちゃだめだと 
お袋がよく言っていたけれど
酒に飲まれて飲まれて騙されて
初めて飲んだ味がする

でもできるなら酒は飲まない方がいい
利口な奴なら 深酒はしない

僕の心を初めて裸にした女
酔った心に蘇る
忘れてしまった筈だったのに 何故お前は消えてくれない

でもできるなら酒は飲まない方がいい
出世する奴は 酔った振りができるもの


僕は東京で立身出世するつもりが、志半ばで故郷に戻りました。

あれから数十年。
僕は故郷の恋人とは添い遂げることはできませんでした。

でも友人は故郷の彼女と結婚しました。

今聞いても「宇宙塵」は心に沁みます。

あの頃の僕と今何が変わったのか・・。

金銭的には豊かになったかもしれません。
でもお金も何もなかった「武蔵中原」での僕。
ラジカセで聞いた財津和夫。

友人の笑顔・・。焦げたじゃがいもバター。
遠くに聞こえる南武線の電車の音。

僕はもうあの頃を懐かしむしかできない。

もう「武蔵中原」には戻れない事は分かっている。

だから今でも酒を飲む。
淋しさを飲み干すため。
この先も飲み続ける。
儘ならぬを飲み干すため・・。

酒はあの頃と何も変わらない。

もし少し寂しくなって、儘ならにぬなったら・・
聞いてほしい・・
「酒の唄」・・を。

酒をのまずに淋しさを
消せる奴がいたなら
教えてやってくれ
あいつにその術を

酒は飲め飲め飲め 淋しさを飲み干せ
酒は飲め飲め飲め 儘ならぬを飲んでしまえ





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この記事へのコメント

1. Posted by MamaSaru   2011年05月08日 01:13
酒は飲め飲め飲め..長谷川法世ですね。:-)
私も家内共々、財津ファンです。
今回は残念でしたけど、また中原に来る時にはぜひお会いしたいです。鹿島田在住
2. Posted by sunboy   2011年05月08日 23:30
MamaSaruさんコメントありがとうございます。

鹿島田か・・。南武線思いだします。
過去に旅する勇気がないのですが、行きますよ。
南武線の旅、ブログアップします。
スタートは蒲田から川崎で始まります。
6月はまったく暇なので計画しています。

財津和夫は僕の原点。博多っ子純情です(笑)
話が尽きる事がなさそうです(笑)
3. Posted by シN   2015年01月09日 23:39
5 言葉の文字に同調
読み進めるうちに涙が
東北の雪深い地方で同じ記憶を
財津さんの言葉は優しくて浸みる。
良いサイトに出会った。

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