風の歌・・つちだきくお(6)大仲のあさい・・

まだ見ぬ小浜島のつちださんから小包が届いたのは、2週間後の、梅雨の盛りでした・・・。

丁寧に包みを開くとCDとつちださんの本がありました。
「イチュヌヌ」。
イチュヌヌとは、島の言葉で、最上級の布、絹の布。そして、風をはらんで立つ帆の布。そして、祈りの言葉・・・。旅先の水平線が一本の真っ直ぐな絹糸の様に穏やかでありますように・・・の意。2枚組のCD。
itununu.jpg

丁寧に包みを開くとつちださん直筆のサイン。
レコードに針を落としました・・・。いや。CDをトレイに入れました。

あの声・・・、あの歌・・・。何年たっても記憶にあったつちださんの声・・・・。
いきなりハイファイセットの「雨のステーション」、盲目のシンガー長谷川きよし「別れのサンバ」のカバー。
そして、アリスの「冬の嵐」・・・。懐かしく少しコアな曲が続きます。

そしたら、いきなり朗読が始まるのです・・・。

つちださんが、まるでライブの様に語りかけてきたのです・・・。

「大仲のあさい・・・
十二年前、島に暮らそうと決めたけれどヤー(家)がない。空き家でもトートーメイ(仏壇)があったり、雨漏りがひどかったり・・・。
・・・必死になって「ヤー」を探している僕を見かねて島のオジィが紹介してくれた最後の望みのヤー。それが「大仲のあさい」
母屋には、大仲ヒデ(当時84歳)ばーちゃんが一人住んでいる。このばーちゃんのやさしさが十二年も島に暮らすきっかけだったなー、と今も想っている・・・。」

むむむ・・・。このCDはまさに、つちださんのロビコン(はいむるぶしのロビーコンサート)・・だ!※sunboyはまだ見たことありません・・・。

さらにヒデばーちゃんが話しかける・・
「夏はトタンは暑いからよう、ウチにいらっやいねー。庭?あんたたちの好きな様に使っていいサー」優しいばーちゃん・・・・。中略。
家族も増え、あさいでは狭すぎて、今は他の「ヤー」に移り住んでいる僕
あさいには、新しく島に住む笑い声が響いている。大仲のあさいでのヒデばーちゃんとの日々は、今度はぼくの心の中で、ほわ〜としたまま、セピア色になっても、生き続けるのだろうな〜。
ヒデばーちゃん。シカットカラ、ミーハイユー・・・。」

なんて素敵なCD・・・。あの日のつちださんの声・・・。
名前も分からない人に、今、長い歳月を経て出会うことができました。
想えば必ず叶う・・・。今、このCDを聞いていて、まさしく思ったのでした・・・。
これにて終了・・・ではないのです。

包みの中に「sunbou(本当は本名)へ・・・」の封筒が入っていました。
ん?これは、何だろうとその封筒に鋏を入れました・・・。

つづく・・・。

hikarinonatukumo.jpg

今回もつちださんの小浜島の風景をお借りしました。


2005年05月19日Comments(0)TrackBack(0)START 

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